支店さんの小説紹介


 

☆恋愛

「アニマルロジック」(山田詠美、新潮文庫)
差別する人、される人。どっちも差別にこだわっている限りは幸せになれない。自由と孤独。心の自由は、孤独に耐えられること。孤独と感じないこと。孤独をごまかさないこと。
ヤスミンの生き方は、強くて綺麗でだらしなくて、やさしい。読み終わった後、なんだか元気になれる本だった。

 

☆ファンタジー

「ハリー・ポッターと賢者の石」(J・K・ローリング、静山社)
書店で山積みされていたので、つい購入した本。訳も綺麗で(訳者:松岡祐子)読みやすかった。ストーリも、いじめられっこが、実は大魔法使いの子供で、大活躍!という、きちんとした童話で読んでいて気持ちがいい。
なんだか、設定で突然過ぎたり、複線だけ見えて、というのがあるが、本作が第1巻であるというので続きを期待したいと思う。

十二国記シリーズ(小野不由美、講談社X文庫White Heart)

中国っぽい雰囲気のファンタジー小説。設定、人物、文章、すべてがすばらしい。ファンタジー小説でありながら現実感があって、引き込まれるようにして読んでしまう。出会いは中学生の時だが、今でも愛読している。確か、講談社文庫でもでているはず。White Heart版は、挿絵が山田章博さんで、ストーリーにもよく合っているしとっても綺麗なので、少女文庫だけど、オススメ。  
最近また読みなおして、様々なエピソード事体の面白さと、大人になる事、本当のやさしさ、厳しさ、責任といった事に共感しつつ、中学生の時、まるで自分言い当てられているような気がして、責められているようで辛かったが、その半面勇気を得たようでおいおい泣いた。主人公の慶王陽子の治世が永く続くように祈っている。

 

「銀河鉄道の夜」(宮沢賢治、角川文庫)
この本は、個人的な思い入れがある。というのも、大学1年の秋休み、大好きだった友達と東北に旅行に行った際、宮沢賢治記念館で購入し、夜の東北本線で、まっくらな車窓からの景色を眺めつつ読んだ本だからである。一面に水田の続く車窓からの景色は、夜ともなると真っ暗で、自分がのっている列車の窓の灯りだけが四角く闇から切り取られている、そんな感じがする。まるで、今、自分がのっているこの列車が「銀河鉄道」なのではないかと思われてくる。丁度、秋風が吹いて肌寒くなったころだった。…そんな旅の想いでとともに、この本は忘れられない1冊となった。

ナルニア国物語シリーズ

人間の勇気、優しさ、あるいは傲慢さ、弱さ、間違い、それに対する神の許し、神の突き放した態度や優しさ、そういったキリスト教的な(と、いうのは、作者が聖職者であることからもわかる)価値観がナルニア国という別世界において、「神=金のライオンのアスラン」という図式のもとに無理なく理解できる。
キリスト教というと、聖書のエピソードとか聖書の言葉とかに気を取られがちだが、真に大切な事はなにか、どのように生きるべきなのか、その精神が分かりやすく表現されている。
しかし、決してキリスト教の宣伝にはなっておらず、 誰でも納得でき、共感できるのではないだろうか。
読後、勇気が出てくる名作である。

 

 

☆科学

「二重らせん」(ジェームズ・D・ワトソン、講談社文庫)
DNAが二重らせん構造をしている、ということを発見したワトソンとクリック。彼らがその世紀の大発見をするまでのストーリー。学者の世界が、傍で見るよりもずっと人間関係と競争の世界だということを赤裸々に(か、どうかまでは分からないけど。)あらわしている。
でも、それゆえに、どきどきしながら読めて面白い。

「笑うカイチュウ」(藤田紘一郎、講談社文庫)
あまり寄生虫とは縁がなかったので、私はあまり彼らになじみがありませんでしたが、読んでいると自分のおなかの中にも一匹くらいいるのではないか、という気分になりました。
文章が、寄生虫の立場にたって書かれていて、さすがに飼ってみたいとは思わなかったけれども、寄生虫も寄生虫で頑張っているんだなぁ、と妙に感心してしまいました。

 

☆サスペンス

「三幕の殺人」  「オリエント急行の殺人」  「アクロイド殺し」(アガサ・クリスティー、ハヤカワ文庫)
突然、アガサ・クリスティー作品を制覇してみようと思い立ち、勢い良く読み始めた。でも、下手に感想を書くと、ミステリーだけに、うっかり読んでしまった人の恨みが怖い。というわけで、読んだ人、個人的に感想を話しましょう。ま、ストーリーに当り障りのない全体的な感想を書くと、アガサ・クリスティーとか、ホームズもそうなんだけれど、もちろん、推理とか、ストーリーが面白いのは言うまでもないことだけど、やっぱり、その時代性というか、舞台そのものにあこがれてしまいます。そういうのも、ついつい夢中になってしまう要素だとおもいます。あー、当り障りないな。ふぅ。

 

☆評論

 

☆歴史

「李陵・山月記」(中島敦、角川文庫)
「敦煌」(井上靖、新潮文庫)

 

☆エッセイ

「イタリアからの手紙」(塩野七生、新潮文庫)

 

☆旅行

「わしらは怪しい探偵団」(椎名誠、角川文庫)
なんといっても、文章のリズムが良く、人物や状況の描写や例えが生き生きとしていて、読んでいてまったく退屈することもなく、一気に最後まで読んでしまった。
読み終えた後で、「大人になっても、体張ってバカができる友達っていいなぁ。」と、半分はまるで自分も怪しい探検隊に参加したような気分を味わいつつも、半分はうらやましんでいるような気分になって、また続きを読みたいと思う本であった。

 

☆詩集

 

☆文学

「変身」(カフカ、新潮文庫)
なんだか、すごいインパクトのある話だったので、つい、書いてしまいました。本当は深い隠喩なのかも知れませんが、私は、妙にリアルで、まるでみてきたような芋虫と家族の様子の描写ににやられました。うわーっ。っていう感じ。

「人間失格」(太宰治、新潮文庫)
暗いねぇ。「走れメロス」を読んだとき、「うわー、この人、こんなにブアツイ友情なんて求めちゃったりして、ヤバイよ。重いよ—。怖いよ—。」と、思っていましたが、「やっぱりこうなるか。」ということを、この本を読んで確認できました。カイチュウではありませんが、やっぱり人間、極端なのはヤバイねぇ。…でも、確かにこういう極端に走っては、死にたくなったり、逆に妙に自分の存在に自信をもったりしたこともありましたです。青春だったねぃ。今思えば。

 

☆その他

「悪魔の飽食」(森村誠一、借り物なので出版社は忘れた。)

 

SATOKO TAKANO / Yanagisawa Laboratory

University of Tokyo | School of Engineering | Chemical System Engineering